満ち足りる夕べ
子どもたちの寝息と夢と
心地よいだるさが横たわる夜
あれはいつの日のことだったか…
夕暮れ迫る針葉樹の森を
幌馬車で父さんと…向かったのは何処なのか
記憶の底をあてもなく彷徨うのだ
記憶というものは世界で一等の魔法使い
どんなに悲しい思い出も
世界で一番美しいものに変えてしまう
実に実体がなく愚かなものか?
…しかし
私はそれを信じてみよう
美しいものを信じよう
満ち足りた夕べは悲しみをねぎらい
優しい眼差しで包み
忘れ去った喜びを彷彿とさせる
神の慈悲と共に祈る
世界は愚かで何と美しいのだろう
0コメント